皆さま、こんにちは。西本文雄です。いつも株式会社 事成すのサイトをご覧いただき、ありがとうございます。
「お客さまのために、何とかしてあげたい」。ものづくりの会社で働く皆さまなら、きっと大切にしておられる気持ちだと思います。急な追加注文にも、納期の前倒しにも、できる限り応えようとする。その気持ちに支えられて、続いてきたお付き合いもあるでしょう。
ところが、その努力を重ねるほど、現場の予定が崩れ、確認が後回しになり、仕事が終わるころにはみんなが疲れている。しかも、お客さまからは「前はできたのに」と言われてしまう。これでは、頑張っている人ほどつらいですよね。
最初に結論をお伝えします。顧客第一主義を仕事に活かすには、お客さまが実現したいことを理解し、品質・安全・現場の負荷を確認して、守れる約束をつくることが大切です。その判断を、一人の気遣いや経験だけに任せず、チームで支えられる仕組みにしていきましょう。
今回は、初稿で紹介した食品製造業の支援エピソードを振り返りながら、この方針を日々の仕事へどう結びつけるかを考えます。前半では言葉の意味を整理し、後半では納期変更や仕様変更の判断表、社内への引き継ぎ、振り返りの方法まで具体化します。
お客さまを大切にしてきた皆さまの努力を、これからも続けられる仕事の形に変えるためのお話です。どうぞお付き合いくださいませ。
顧客第一主義とはいったい何か?
ここでは、顧客第一主義を「お客さまの立場から必要な価値を考え、それを継続して届ける経営姿勢」と捉えてお話しします。会社によって表現は違っても、まず確かめたいのは、その言葉が日々の仕事で何を意味しているかです。
お客さまの要望の奥に、実現したいことがある
例えば、部品の追加注文で「全部、明日までに欲しい」と言われたとします。ここで、全部を明日届けることだけを目標にすると、製造の順番を大きく変えたり、必要な確認を急いだりすることになりかねません。
では、お客さまは何に困っているのでしょうか。明日の組立に必要な分が不足しているのか。予備まで先にそろえて安心したいのか。それとも、社内の日程が変わり、必要数量をまだ整理できていないのか。理由によって、役に立つ対応は変わります。
まず使う分を先に届け、残りは確認した日程で納める方法が合う場合もあります。ただし、分納ができるか、相手の受入れや輸送に支障がないかも含めて確認が必要です。こちらが便利だと思った案が、相手にも便利とは限りませんからね。
私は、この「何のために必要なのか」を一緒に確かめるところに、ものづくり企業の提案の余地があると考えています。言われた形をそのまま実現する前に、使う場所と困っている仕事を知る。技術や現場の知恵が、そこで活きてきます。
守れる約束が、安心して頼める関係をつくる
お客さまにとっても、気持ちのよい返事をもらった後で納期が変わるより、できる範囲と確認が必要な範囲が最初から分かるほうが、次の仕事を組みやすいはずです。「確認してからお答えします」という返事にも、大切な役割があります。
例えば、図面を受け取った時点では、加工できそうに見えても、測定方法や材料の入荷時期が未確認かもしれません。見積りの前提、試作で確かめる内容、納期回答に必要な確認を分けて伝えると、お互いの思い込みを減らせます。
京セラの公式サイトでも、お客さまに価値を提供する姿勢を、技術や納期、品質などへの取り組みと結びつけて説明しています。ここからも、顧客への思いは具体的な仕事の質に表れてこそ意味を持つ、と考えられます。京セラ「お客様第一主義を貫く」
ただし、今はできないことを認めるだけで、技術を磨く努力まで止めてしまわないようにしたいですね。今回の受注で約束できる範囲と、将来できるようにしたいことを分ける。挑戦をするなら、試す条件と時間を用意する。どちらも、お客さまを大切にするための仕事です。
働く仲間と協力先まで含めて、届け方を考える
急ぎの仕事を引き受けるとき、その影響は電話を受けた人のところだけに留まりません。段取りをする人、材料を手配する人、検査をする人、配送を頼まれる協力先へと広がっていきます。別のお客さまと交わした約束に影響することもあります。
だからこそ、相手の事情を聞くのと同じように、社内と協力先の事情にも耳を傾けたいのです。誰かが黙って無理をすることで成立している対応は、同じ条件で次も引き受けられるとは限りません。
日本生産性本部は、顧客満足と業績の関係を説明する際、働く人の満足や社内の仕組みも扱っています。顧客への対応を考えるときに、届ける側の仕事の状態も見る視点は参考になります。日本生産性本部「顧客満足とは」
お客さまが安心して使えること。現場のみんなが品質を守って働けること。会社が必要な人材や設備を維持し、次の依頼にも応えられること。このつながりを見ながら、わが社の顧客第一主義を、具体的な言葉で説明してみてください。
顧客第一主義を目指そうとした会社の話
初稿では、私が関わった食品製造業の会社のお話を紹介しました。ここで振り返るのは当時の相談と取り組みであり、その会社の現在の経営状況や、その後の成果を示すものではありません。
社員と一緒に経営したい、という出発点
その会社は、大手小売企業を主な取引先として、売上が伸びる一方、思うように営業利益が上がっていないことに悩んでいました。社長には、自分だけで経営を進めるのではなく、社員と一緒に考え、頼りになる人材を育てたいという思いがありました。
そこで掲げられていた方針の一つが「顧客第一主義」です。社員の休憩所にも、その言葉が大きく示されていました。お客さまを大切にしたいという気持ちを、社員にも分かる形にする。その取り組み自体は、大切な一歩だと思います。
ただ、言葉を掲げた後に確かめたいことがあります。「この方針によって、いつもの仕事をどう変えたいのでしょうか」。当時、私が社長に尋ねたのも、そういう問いでした。
話を進めると、お客さまの意向を絶対的に優先するという受け止め方が見えてきました。お客さまを大切にしたいという思いは同じでも、会社としてどこまで判断してよいかが曖昧になっていたのです。
ここで、業績上の悩みの原因を、その方針一つに決めつけることはできません。取引条件、原価、仕事の進め方など、確かめるべきことは別にあります。このエピソードから読み取りたいのは、方針の意味が曖昧なままでは、日々の判断もそろえにくいという点です。
方針を問い直し、説明する機会をつくった
当時は、社長が方針の捉え方を見直し、将来を期待する若い社員と一緒に、事業方針を説明する会を企画しました。壁に掲げた言葉を、会社として何を大切にし、どのように動くのかという話へ進めたわけです。
方針を説明する機会は、社員と経営を進めるための出発点になります。ただ、説明したことと、日々の判断がそろうことは同じではありません。話を聞いた社員が、どんな場面で迷い、何を確かめたいと思ったか。そこまで耳を傾けて、次の取り組みへつなぎたいですね。
この話を皆さまの会社へ持ち帰るなら、同じ説明会を開くことだけが答えではありません。例えば、急ぎの依頼を受けたとき、営業と製造が同じ内容を確かめているか。現場から「今の条件では難しい」と言えるか。条件を変える判断は誰がするのか。そうした具体的な場面に、方針を当てはめてみるのです。
言葉の理解は、迷う場面を一緒に見て確かめる
「顧客第一主義の意味は分かりますか」と聞かれれば、多くの人は「分かります」と答えるでしょう。ところが、すでに予定が埋まっている日に追加注文が入ると、受ける、断る、保留するという判断が分かれるかもしれません。
それを、すぐに誰かの理解不足と考えないでください。営業には相手の切迫した事情が見えていて、製造には設備の空きがないことが見えている。それぞれが持つ情報が違うだけの場合もあります。話を聞けば、どちらにも理由があるのです。
例えば、最近迷った依頼を一件持ち寄り、受けた側は何を心配したか、作る側は何が必要だったかを順に話す。次に同じことが起きたら、どの情報を先にそろえるかを決める。これなら、小さな会社でも日常の打合せから始められます。
社長の思いを現場の仕事へつなぐには、社員が実際に迷う場面を一緒に見ることです。そこから生まれた判断の言葉には、掲示した方針を、自分たちの仕事として受け止める手がかりがあります。
顧客第一主義がはたして弊害を生むのか?
お客さまを大切にしようという方針でも、確認すべき条件と判断する人が決まっていなければ、無理な約束につながるおそれがあります。ここでは、要望を受けたときの仕事を、確認・判断・合意・引き継ぎに分けて考えます。
その場の返事だけで、現場の予定を変えていないか
「何とかします」と答えた本人は、役に立ちたいと思っている。現場も、その気持ちを理解して何とか間に合わせようとする。ところが、残業や段取り変更が記録されず、必要な費用も話し合われないままなら、その頑張りは次の判断に使えません。
しかも、一度対応できたことが、いつでもできる標準のサービスとして受け取られることもあります。たまたま設備が空いていたのか、材料がそろっていたのか、ほかの予定を調整したのか。その条件まで伝わらないと、双方にとって次の約束が難しくなります。
現場で確認していない条件を、できるものとして約束しないことです。これは消極的になるための基準ではありません。できる条件を調べ、相手が選べる案を出すための基準です。最初の返事を「受けました」と「引き受けます」に分けるだけでも、考える時間をつくれます。
何を確かめてから答えるかを、簡単な表にする
次の表は、一般的な製造業の場面を整理したものです。自社の製品や取引条件に合わせて、確認項目を選んでください。表に書いてあることを全部聞くためではなく、約束に影響する見落としを減らすために使います。
| 受けた要望 | 回答前に確かめること | 提案する条件の例 |
|---|---|---|
| 納期を早めたい | 使用する日、先に必要な数量、材料・設備・検査の予定、既存案件への影響 | 分納や納品日の調整が可能か相談する |
| 仕様を変えたい | 変更の目的、対象図面と版、加工・検査・手配済み品への影響 | 変更する範囲と適用する注文をそろえる |
| 追加費用なしで対応してほしい | 当初の合意範囲、追加作業、繰り返しの可能性、負担する費用 | 範囲を絞る案や条件を分けた見積りを示す |
| いつもと違う検査を加えたい | 使用目的、判定基準、測定方法、対応設備、記録の形式 | 実施できる検査と確認が必要な部分を示す |
| 不具合についてすぐ回答してほしい | 発生状況、対象品、相手の困りごと、確認できた事実と未確認事項 | 一次連絡と調査結果の回答時期を分ける |
安全や必要な品質確認を省く案を、納期の代替案にしないでください。例えば検査の変更なら、自社だけの都合で項目を減らすのではなく、求められる品質と合意した条件を確かめる必要があります。急ぎのときほど、この線引きを曖昧にしないようにしたいですね。
また、取引先の要望に見えることが、実は社内の伝言で強くなっている場合も考えられます。「できれば早いと助かる」が「絶対に明日」になっていないか。相手が実際に言ったことと、自分たちが推測したことを分けて記録しましょう。
受け付けてから、合意した内容を現場へ渡すまで
判断の手順は、複雑な仕組みにする必要はありません。まずは、いつもの依頼の流れに沿って、次の順番を試してみてください。
- 要望を受けた人が、相手の目的、対象品、希望条件、回答を必要とする時期を記録する。
- 製造・品質・手配に関わる人が、対応の可否と影響を確かめ、まだ分からない条件を出す。
- 判断する人が、既存の約束も含めて確認し、回答できる条件と代替案を決める。
- 窓口から相手へ条件を説明し、合意した内容、保留事項、次の確認時期を記録する。
- 関係する人へ変更を伝え、対象の図面や予定がそろい、作業に使う情報へ反映されたか確かめる。
小さな会社では、同じ人が複数の役割を担うでしょう。それでも、確認する役割と約束する役割を意識して分けると、急いで返事をした後で条件を調べるような逆戻りを避けやすくなります。
電話のメモを残しただけで、変更が伝わったことにはなりません。作業する人が新しい版を使えるか、手配中の材料や外注先に影響があるかまで見ます。「連絡したか」から「その条件で仕事を進められるか」へ、確認するところを一歩進めるわけです。
難しい依頼には、目的に戻って答え方を考える
断ることが苦手な方もいらっしゃると思います。せっかく声をかけてくださった相手ですから、そりゃ気になりますよね。ただ、無理な約束で後から困らせることも避けたいところです。
例えば、納期を早めたいという依頼への最初の回答なら、次のような形が考えられます。これは一般的な回答例です。実際の期日や対応内容は、社内で確認したものを入れてください。
「ご使用予定を教えていただき、ありがとうございます。ご希望の納期で全数をお届けできるかは、まだ確認が必要です。先に必要な数量と、残りをお使いになる日を伺えますか。製造と確認し、合意した回答期限までに、対応できる条件をご連絡します。」
確認の結果、希望どおりにできないと分かったら、結論を曖昧にせず、確認できた理由と選べる条件を伝えます。代替案がなければ、無理につくる必要はありません。相手が別の手段を考えられるよう、分かった段階で知らせることも誠実な対応です。
アンリツのコラムでも、変更依頼の背景を聞き、双方の条件を整理する方法を紹介しています。この記事で示した判断表も、相手の目的と自社の対応条件を同じ場で話し合うための道具として使ってください。アンリツ「仕様や納期の変更に波風を立てずに対応する方法」
顧客第一主義の理想と現実
方針を説明しても、忙しい日の判断まで自然にそろうとは限りません。だからこそ、日々の案件を使って確かめ、迷ったところを直す機会を、いつもの仕事に組み込んでいきます。最初から立派な制度をつくるより、使える小さな仕組みを育てましょう。
説明会では、社長の言葉と現場の場面をつなぐ
方針を説明する場では、思いを伝える時間も大切です。そのうえで、「この依頼を受けたら、まず何を確認しますか」と、身近な場面を一つ取り上げてみてください。正解を当てるテストにする必要はありません。
窓口の人には、相手からどんな事情を聞いたかを話してもらう。現場の人には、作る前に何を知りたいかを話してもらう。すると、同じ方針で働いていても、見えている景色の違いが分かります。必要なのは、その違いをつなぐ情報です。
社長自身も、迷った案件で何を優先したかを説明するとよいでしょう。「今回は受けた」という結論だけでは、次も同じ判断でよいのか分かりません。どの条件がそろっていたから受けたのか、何は変えなかったのか。判断の理由まで伝えると、社員も次の相談をしやすくなります。
若い人が説明を担当する機会をつくるなら、準備の時間と相談相手も用意したいですね。人前でうまく話せるかより、現場で使う言葉に置き換えられたかを一緒に確かめる。分からないところを聞けることも、方針を理解していく大切な過程です。
記録は短く、振り返りは次の判断につなげる
最初の記録は、使い慣れた紙や表計算でも構いません。依頼の目的、変更した条件、判断した理由、合意内容、作業で困ったことが分かれば、次の話合いに使えます。記録のために仕事が増えすぎないよう、すでにある受注情報と重なる欄はまとめましょう。
振り返りでは、受けた件数や受注額だけを見ないことです。例えば、変更で追加した段取りや手直し、確認のし直し、ほかの案件への影響も一緒に見ます。負担が見えて初めて、同じ条件で引き受けるか、提供の仕方を変えるかを考えられます。
一方で、追加作業が生まれたという理由だけで、その依頼を悪い仕事と決めつけないようにしましょう。次に役立つ技術の確認だったのか、相手にも価値が伝わる対応だったのか、繰り返すなら標準のサービスにできるのか。先につながる仕事かどうかも含めて判断します。
話合いの最後には、「次に同じ依頼が来たら、何を先に確かめるか」を一つ決めます。担当と確認する日を決め、使ったときに困らなかったかを見直す。誰が無理をしたかを責める会にせず、次に無理を抱え込まない仕事へ直す時間にしたいのです。
5S活動から、約束を支える現場の土台を整える
判断するための情報を見つけられないと、よい方針があっても動きにくいですよね。最新版の図面はどこか。確認待ちの品はどれか。使う測定器はそろっているか。お客さまへ返事をする前に、社内で探し回っているなら、そこも改善の入り口になります。
5S活動で置き場所や状態を分かりやすくし、その取り組みを記録・共有する。次に、繰り返す行き違いをQC活動で整理し、原因を確かめながら対策を試す。さらに必要に応じて、IE手法で作業の流れや段取りを見直す。こうして、約束を守れる現場の力を育てていきます。
ただし、5S活動だけで受注の採算や納期の問題まで解決できるわけではありません。取引条件を決める仕事と、作り方を整える仕事をつなぐ必要があります。現場だけに「もっと早く」と求める前に、受ける条件や伝える情報も一緒に見直しましょう。
改善の実績を社内の画面や自社サイトへ示すときも、確認できた取り組みと変化を伝えます。取引先の名前や図面、製品の写真などは、公開してよい範囲を確かめてから使ってください。見せたいのは、見栄えのよい結果だけでなく、課題に気づき、考え、変えていける会社の姿です。
AIは、判断に必要な情報を扱う道具として使う
例えば、変更依頼の記録から確認漏れを見つけやすくする入力画面や、未回答の案件を一覧にする仕組みがあれば、窓口と現場のやり取りを助けられます。AIは、こうした自社の困りごとに合うツールをつくる際の手段にもなります。
先に決めたいのは、「何を知りたいか」と「その情報を誰が確かめるか」です。入力内容が曖昧なままでは、立派な画面になっても判断しにくさは残ります。まず一件の流れを人が確かめ、それを支える道具を考える順番がよいと思います。
AIが出した文章を、そのまま納期や品質の約束として送らないことです。図面、取引条件、個人の情報などを扱う場合も、使用するサービスの条件と社内で認めた範囲を確認します。道具を使って整理し、現場が確かめ、人が責任を持って答える。この役割をそろえておきましょう。
顧客第一主義を現場で進めるときのよくある質問
ここまでのお話を、自社で始めるときに迷いやすい点から整理します。大切なお客さまとの関係と、現場の仕事の両方を見ながら、取り組むところを選んでください。
希望どおりにできないと伝えたら、関係が悪くなりませんか?
相手がどう受け止めるかを保証することはできません。だからこそ、目的を聞き、確認した条件と結論を、必要な時期に伝えることが大切です。できそうな雰囲気だけを残して返事を延ばすと、相手が別の方法を選ぶ時間も失われます。
代替案があるときは、相手の仕事に合うかを確認して提案します。分納、日程の変更、対応範囲の調整なども、実際にできると確かめたものに限ります。対応できないという結論でも、何を確認してそう判断したかが伝わる返事を目指しましょう。
お客さまより社員を大切にする、ということですか?
誰を常に先にするかという順番だけで考えると、目の前の仕事を判断しにくくなります。お客さまの目的を実現するために、社員が品質を守って働ける条件をつくる、と考えてみてください。会社が無理を見つけたら、提供の仕方を変える責任があります。
もちろん、社内の都合を伝えるだけでは相手の困りごとは解決しません。どこを改善すれば対応できるのか、条件を変えるなら何が必要かを考えます。現場の声を聞くことと、お客さまのために工夫を続けることは、一緒に進められます。
売上は増えているのに、現場も会社も苦しい場合は?
売上の増減だけで原因は分かりません。受注した内容と、実際に必要だった作業を一件ずつ照らし合わせてみてください。追加の段取り、手直し、検査、輸送、連絡のやり直しなどが、当初の見積りで想定されていたかを確かめます。
そのうえで、作り方を変えるのか、依頼の受け方を変えるのか、次の提供条件を相談するのかを分けます。すべてを現場の作業速度の問題にしてしまうと、直すところを見失います。必要に応じて、原価や取引条件を確認できる専門家とも一緒に整理するとよいでしょう。
少人数の会社では、何から始めればよいでしょうか?
直近で判断に迷った依頼を一件だけ選ぶところからで十分です。相手が望んだこと、こちらが確認したこと、約束したこと、現場で困ったことを並べ、次に受けるときの確認を一つ追加します。
最初から専用システムや新しい会議を増やす必要はありません。いつもの受注打合せで確認できる形にする。使いにくければ欄を減らす。使って分かったことを直す。その繰り返しが、自社で使える判断の仕組みになっていきます。
まとめ|お客さまを大切にする方針を、みんなが動ける仕組みへ
顧客第一主義を掲げるなら、その言葉でどんな仕事を増やしたいのか、何を変えたいのかを、現場の場面で話し合ってみてください。お客さまの目的を聞くこと、回答前に条件を確かめること、合意した情報を作る人へ渡すこと。日常の小さな仕事に、方針が表れます。
初稿の食品製造業のお話も、よい言葉を掲げるだけでは、具体的な判断まではそろわないことを考えるきっかけでした。説明する機会をつくり、実際に迷った場面を取り上げ、次の対応を直す。社長と社員が一緒に考える仕組みが必要なのです。
お客さまを大切にする気持ちを、誰か一人の無理に預けない。
私は、ここを大事にしたいと思っています。難しいと気づいた人が相談できて、事情を知る仲間が情報を出し、守れる条件を一緒に考える。その積み重ねが、安心して頼める会社を育てていくのではないでしょうか。
株式会社 事成すが大切にしてきたのは、「社員を元気にする。会社を元気にする。そして街を元気にする。」という思いです。現場の工夫が会社の力になり、その会社が地域の仕事を支えていく。日々の改善と経営の方針を、そうしたつながりの中で考えています。
まずは、最近迷った要望を一件選び、相手の目的と、社内で確かめた条件を書き出してみてください。次の依頼で確認を一つ増やせるなら、それが出発点になります。大きく変える前に、みんなで確かめられる一歩をつくりましょう。
受注の判断と現場の仕事がつながらない、5S活動から継続する改善体制を整えたい。そのような課題があれば、株式会社 事成すの支援サービスもご覧のうえ、ご相談ください。自社の現場でどこから始めるか、次の改善を一緒に考えましょう。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。すべては皆さまの笑顔と元気のために。

