皆さま、こんにちは。中小企業診断士の西本文雄です。毎日、工場は忙しい。社員のみんなも工夫してくれている。それなのに、決算書を見ると思ったほど利益が残っていない。そんなとき、どこから確かめていけばよいのでしょうか。
今回の結論は、損益計算書に並ぶ5つの利益を順にたどり、変化した費用や仕事の中身を現場の記録と照らし合わせることです。最後の利益だけで会社の良し悪しを決めるのではなく、どの段階で、何が変わったかを調べる入口にします。数字は、働く人を責める道具ではありません。次の仕事を良くするための材料にしていきましょう。
損益計算書は、一定期間の経営成績を表す書類です。英語の名称から、PLやP/Lとも呼ばれます。難しい科目名が並びますが、基本は収益と費用を対応させ、その差を利益として確かめることです。ここでは一般的な単体企業のPLを念頭に、ものづくりの現場と結びつけて考えます。
元の記事で使った「スピードメーター」のたとえも、引き続き使います。ただし、当期純利益だけで成長や現金の状態まで分かるわけではありません。たとえの分かりやすさと、会計上の意味を分けながら、一つずつ見ていきましょう。どうぞお付き合いくださいませ。
損益計算書(PL)の5つの利益とは?
5つの利益は、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益です。どこまでの収益と費用を含めた利益かが異なります。まずは上から順に、差し引くもの、加えるものを確認してみてください。
【売上総利益】とはなにか?
売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いた利益で、粗利とも呼ばれます。製造業では、販売した製品に対応する原価を差し引いた段階です。材料だけでなく、製造に関わる人の仕事や設備の費用なども原価に関わるので、「売値から材料代を引いた残り」と同じとは限りません。
売上原価は、その期間の売上に対応する原価です。その月に支払った仕入代や工場の経費を、すべてそのまま差し引くわけではありません。まだ製造中のもの、完成したけれど販売していないものがあると、在庫との関係を確認する必要があります。この点は後の章で、工場の動きと一緒に整理します。
売上総利益は、仕事の採算を考える大切な入口です。ただし、原価率が上がったから現場の効率が落ちた、とすぐには言えません。材料の単価が上がった、販売価格が変わった、受けた仕事の組み合わせが違う。そうした要因でも動きます。数字を見て気になる点を見つけたら、どの仕事で何が変わったかを確かめましょう。
【営業利益】とはなにか?
営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた利益です。製品をつくるだけでなく、販売し、会社を運営するための費用まで含めて、本来の営業活動の結果を捉えます。営業や事務の仕事も、製品をお客さまへ届け、取引を続けるために必要ですよね。
販売費及び一般管理費を、単に「事務所で使ったお金」と捉えると狭すぎます。何のために使う費用か、どういう業務に対応するかで考えます。人件費や減価償却費なども、業務の内容に応じて製造原価側に含まれる部分と、こちらに含まれる部分があります。自社の区分を会計専門家と確認しておきましょう。
営業利益が減ったときは、売上総利益の変化と、販売費及び一般管理費の変化を分けて見ます。費用が増えていても、新しい仕事の準備など、理由があるかもしれません。増えた項目を責める前に、目的、今の状況、その後に確かめることを聞いてみてください。
【経常利益】とはなにか?
経常利益は、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた利益です。受取利息や支払利息など、本来の営業活動以外の収益・費用も含め、経常的な活動の結果を確認する段階になります。
営業利益が改善しても、営業外費用が増えれば、経常利益の動きは違ってきます。反対に、営業外収益が増えることで、経常利益が増えることもあります。ですから、経常利益が増えたという結果だけで、製造や販売の仕事が良くなったと決めないことです。どの項目が動いたかを、ひとつ上の段階に戻って確認します。
なお、会社の登記簿に書いてある事業かどうかだけで、売上や営業外収益が決まるわけではありません。事業の実態や適用する会計上の扱いを確認します。賃貸収入なども、どの会社でも同じ区分になると考えず、自社ではどう処理しているかをそろえておくと、説明がぶれにくくなります。
【税引前当期利益】とはなにか?
ここでは、一般に「税引前当期純利益」と表示される段階を説明します。経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いた、法人税等を控除する前の利益です。原記事の見出しは残していますが、手元の決算書では実際の科目名を確認してください。
固定資産の売却に伴う損益など、通常の営業活動と分けて捉えたい項目が含まれることがあります。大切なのは、「今年だけ起きたことだから、何でも特別損益」としないことです。補助金や退職金なども、名称だけで一律に区分を決めず、内容に応じた扱いを確認します。
特別な損益によって最終的な利益が大きく動いた場合は、その要因を分けて見ましょう。設備を売った利益が含まれているなら、来期も同じ利益が続く前提にしてよいかは別の問題です。反対に、一時的な損失があった場合も、営業活動の結果と合わせて捉えたいところです。
【当期純利益】とはなにか?
当期純利益は、その期の最終的な利益です。基本的には税引前当期純利益から法人税等を差し引いて捉えます。ここでは理解の入口として示しており、税効果会計などによる調整の詳細には立ち入りません。実際の計算や表示は、自社の決算書と適用する会計基準に沿って確認してください。
5つの利益は、別々に得た5種類のもうけを足し合わせるものではありません。途中の段階を順に見せたものです。最後の結果と途中の変化を合わせることで、何を詳しく調べるかを考えやすくなります。基本算式は、中小企業庁「中小企業の会計31問31答」問5でも確認できます。
| 利益の段階 | 基本的なつながり | 読むときの問い |
|---|---|---|
| 売上総利益 | 売上高から売上原価を引く | 売値、原価、仕事の組み合わせはどう変わったか |
| 営業利益 | 売上総利益から販売費及び一般管理費を引く | 事業を営む費用まで含めるとどうか |
| 経常利益 | 営業利益に営業外の収益・費用を反映 | 金利負担などはどう動いたか |
| 税引前当期純利益 | 経常利益に特別損益を反映 | 通常の活動と分けて確かめる項目は何か |
| 当期純利益 | 税引前当期純利益から法人税等を反映 | 最終結果を何が動かしたか |
この表は、読み返す際の道案内です。科目を暗記するだけで終わらず、「この変化は、どんな仕事とつながっているだろう」と考えるために使ってください。
【当期純利益】は我が社のスピードメーター
当期純利益をスピードメーターにたとえると、取り組んだ結果を確かめるという意味が伝わりやすくなります。ただし、これは理解を助けるたとえです。利益の額がそのまま成長率や、使える現金の量を表すわけではありません。
メーターの数字と、その理由を一緒に見ます
自動車で速度を確かめるように、会社でも取り組みの結果を確かめたい。元の記事でお伝えしたかったのは、このことです。仕事を受け、材料を手配し、製造して届ける。その結果がどうだったかを振り返らずに、次の仕事だけを増やしても、何を変えればよいかは分かりません。
ただ、自動車のメーターを眺めるだけでは、道路の状態や目的地まで分からないのと同じです。当期純利益が増えた理由が、継続する仕事の改善なのか、一時的な損益なのかを確かめます。小さくなった理由も同様です。最後の結果から途中の段階へ戻り、事業の変化をたどりましょう。
製品の切り替えや設備の立ち上げなど、将来に向けた準備が今期の費用に関わることもあります。だからといって、計画中の成果を実績に含めるわけではありません。今かかった費用、今確認できた結果、これから確かめる見通しを分けて話せるようにしておきます。
純利益は、純資産につながっても現金と同じではありません
当期純利益は、利益剰余金の増減につながります。ただし、会社の純資産は純利益だけで動くものではありません。配当や増減資など、ほかの要因も関係します。「当期純利益を足せば、翌期の純資産になる」と単純には考えないでください。変化は株主資本等変動計算書などでも確認できます。
純利益が出た分だけ、預金が増えるわけではありません。売上代金がまだ入金されていない、在庫を持っている、設備を購入した、借入金を返済した。利益と現金の動きには、こうした違いがあります。支払いに備えるには、貸借対照表や資金繰りの情報も合わせて見る必要があります。
元の記事で純資産を「移動距離」にたとえたのも、積み重ねをイメージするためです。純資産の多い会社ほど、一律に仕事の質が高いとか、現場が元気だとかいう意味にはできません。会社の歴史や資金の構成が違うことも踏まえて、自社の変化を読みたいですね。
現場の状態も、別のメーターで確かめます
当期純利益が良くても、無理な納期が続いていないか、品質に不安がないか、設備の手入れを先送りしていないかは別に確認します。数字にまだ表れていない困りごともあります。利益だけを上げるために、必要な仕事まで減らすと、後の負担が増えるかもしれません。
私は、利益の確認と一緒に、現場からの声を聞く時間を持っていただきたいと思います。何が進めやすくなったか。何に手間がかかっているか。次に直したいのはどこか。会社の数字と仕事の実感を照らし合わせることで、次の取り組みを選ぶ材料がそろってきます。
5つの利益を経営に活かす!
5つの利益は、変化が起きた段階を探すために使います。金額と率を同じ条件で比べ、変化した項目を詳しく調べ、次の対応へつなげましょう。表を見るだけで原因まで分かったことにはしないのが大切です。
金額と利益率を、両方で確かめます
売上が増えても利益が増えていない場合、まず金額で動きをつかみます。そのうえで、売上高に対する利益の割合を見ます。売上総利益率なら、売上総利益を売上高で割って百分率にします。営業利益率や経常利益率も、対応する利益を同じ売上高で割って考えます。
利益の金額と利益率は、違う問いに答えます。金額はどれだけ残ったか、率は売上に対してどの程度残ったかを見るものです。売上の規模が変われば、率が上がっても金額が減ることがあります。逆もあります。どちらか一方だけで評価しないようにしましょう。
比べる際には、単位もそろえてください。円と千円、月の実績と年度累計が混じると、話がかみ合わなくなります。率の差を伝える場合も、割合そのものの変化と、何ポイント動いたかは区別したいところです。細かく感じるかもしれませんが、ここをそろえると説明がすっきりします。
上の段階から、どこで変化したかを追います
売上総利益が増えているのに営業利益が減っているなら、販売費及び一般管理費の動きが確認の入口になります。どの項目が増減したかを見て、事業の出来事と照らし合わせます。ただし、この段階だけで「事務所に無駄がある」と結論づけるのは早いですよね。
営業利益と経常利益の動きが違うなら、営業外収益や営業外費用を確認します。当期純利益だけが大きく動いたなら、特別損益や法人税等までたどります。前の段階との差額と、その内訳を見ることが、確認する場所を絞る助けになります。
財務省の財務指標の解説資料でも、利益率はどの利益を使うかで名称と見る意味が変わることが示されています。「利益率が上がった」という会話では、何の利益率かを最初にそろえておきましょう。
比較する期間と、含まれる仕事をそろえます
今月と先月だけを比べると、季節による仕事量の違いや、まとまった費用の計上が影響することがあります。前年同月、年度の累計、予算など、自社の問いに合う比較対象を選びます。月次で棚卸や減価償却などの反映方法が違うなら、その点も確認してから読みます。
製造業では、受けた仕事の構成も大切です。単純に同じ売上額だからといって、材料費や外注費の割合が同じとは限りません。材料支給の仕事と自社で材料を購入する仕事でも見え方が変わります。会社全体の率が動いたら、仕事の中身が変わっていないかも確かめてください。
他社や業界平均を参考にするときも、製品、生産体制、費用の区分が違うことがあります。平均より高い低いだけで、自社の取り組みの良否は決められません。比較をきっかけに、確認すべきことを見つける姿勢で使いたいものです。
数字は、工場と事務所の対立をつくるために使いません
原価が増えたから工場が悪い、販売費が増えたから営業が悪い。そんな使い方では、現場から事情が出てこなくなります。急な仕様変更への対応、得意先との調整、小ロットへの切り替えなど、部門をまたぐ事情があるかもしれません。
まずは、何が起きていたかを聞くことです。そのうえで、減らせる負担、必要な費用、取引条件として話し合うことを分けます。数字の確認を、努力の否定で終わらせず、無理を減らして仕事を続けるための対話へ変えていきましょう。
製造原価と在庫を確かめ、工場の動きとつなげる
製造業のPLを読むには、製造にかかった費用と、販売した製品に対応する売上原価を分けて捉える必要があります。在庫や製造中の仕事も確認すると、工場の動きと利益の関係を考えやすくなります。
材料費だけで、製造の負担を判断しないようにします
製造の費用は、材料費、労務費、経費という区分で整理していくのが基本です。自社の費用がどの項目に集まっているかを確認しましょう。製造に関わる外注や設備、電力などもあります。科目の名前だけでは作業内容まで分からないので、必要に応じて内訳を見ます。
材料費の増加なら、使用量が増えたのか、単価が上がったのか、つくった製品の種類が違うのかを確認します。外注費の増加なら、受注が増えたためか、社内で対応できない工程があったのかを調べます。費用を減らす前に、その費用でどんな仕事を支えているかを知りたいですね。
金融庁の「業種別支援の着眼点」製造業編では、原価の構成から生産の形を理解する視点が示されています。材料、労務、外注の割合は、単なる優劣より、仕事の仕組みを知る手掛かりとして使えます。
製造した分と、販売した分を分けて見ます
製造中のものは仕掛品、完成して保有しているものは製品として、棚卸資産の確認に関わります。その期につくったものが、その期にすべて売れるとは限りません。製造の費用とPLの売上原価を結ぶ間には、こうした在庫の動きがあります。
基本的な流れでは、期首の仕掛品に当期の製造費用を加え、期末の仕掛品を差し引いて、完成した製品の原価へつなぎます。さらに期首と期末の製品在庫を踏まえて、販売した分の売上原価を捉えます。実際には自社の原価計算や評価方法に沿って確認してください。計算式だけを合わせて、棚卸の実態を飛ばしてはいけません。
在庫を増やせば経営が良くなる、とは考えません。保有する量や評価が変わると利益の見え方に関わりますが、材料代などの支払いは別に発生します。使わないものや売れる見通しが不明なものが残っていないかも確認しましょう。棚卸の数量や状態を正しく記録することが前提です。
減価償却と設備購入の支払いを分けます
設備を購入すると、購入代金の支払いと、会計上の費用として配分される減価償却の時期が一致しないことがあります。利益を見ているのか、資金の支払いを見ているのかを分けないと、設備投資後の状態を読み違えやすくなります。
借入金の元本返済も、通常はPLの費用と同じものではありません。支払利息とは区別して、返済予定と資金繰りで確認します。PLだけでは支払いの全体像を確かめられないのです。数字を読むときには、見る書類ごとの役割を分けておきましょう。
作業の改善と、利益への反映には間を置いて確かめます
探す時間や手戻りが減ったとしても、その時間を金額へ置き換えた試算が、そのままPLの利益増加になるわけではありません。残業や外注の支払いが変わったか、空いた時間を別の仕事へ使えたかなど、その後の変化を確認します。
改善した事実と、利益に表れた結果は分けて記録します。現場の工夫が数字に出るまで時間がかかる場合もあります。すぐ利益が増えていないから意味がない、と片づけず、安全、品質、納期、作業のしやすさと、費用や受注への影響を順に見ていきましょう。
数字を現場の次の一歩へ変える、月次確認の進め方
月次の確認では、気になる変化を一つ選び、根拠を集め、次の行動と確認日を決めましょう。すべての数字を詳しく説明する会にするより、仕事を一つ良くするための話し合いにすると始めやすくなります。
最初に、資料の時点と範囲をそろえます
対象月、単月か累計か、金額の単位、未計上の費用があるかを確認します。月次の速報と決算確定値は、同じ精度とは限りません。会計専門家や経理担当と、何が反映済みで何が未確定かをそろえておけば、数字の変化を慌てて判断せずに済みます。
そのうえで、売上高と5つの利益を比較対象と並べます。税金や特別損益などを月次でどう扱っているかも確認してください。決算と同じ項目が毎月すべて確定していると思い込まず、今判断できる範囲を決めます。
事実、理由の候補、次の対応を分けます
気になる変化があったら、まず資料で分かる事実を書きます。次に、理由として考えられることを挙げ、誰に何を確認するかを決めます。「たぶん残業が増えたから」といった見方も、確認前なら仮説です。確かめた事実と混ぜないようにしましょう。
| 確認する順番 | 書き出すこと | 使う資料の例 | 話し合いで決めること |
|---|---|---|---|
| 事実をつかむ | どの利益や費用が変わったか | 月次試算表、内訳 | 比べる期間と対象 |
| 理由を調べる | 何が影響した可能性があるか | 作業日報、受注、購買記録 | 確かめる人と内容 |
| 対応を選ぶ | どの負担や条件を見直すか | 工程の記録、見積り | 取り組むことと担当 |
| 結果を確かめる | 仕事と数字に何が表れたか | 同条件の記録、翌月資料 | 次の確認日と続け方 |
この表は、会議のための新しい帳票を増やす提案ではありません。すでにある資料を使い、話が「気をつけましょう」で終わらないようにするための整理です。書けない欄があれば、足りない情報を見つける手掛かりになります。
現場へ返せる言葉に変えます
会社全体の費用が増えた、という話だけでは、作業する人は次に何を変えればよいか分かりません。どの仕事で、どんな負担が出ていたかまで戻ってみてください。段取りのやり直し、材料の不足、図面の確認待ちなど、現場の言葉に置き換えると、工夫の相談がしやすくなります。
一方で、数字のために記録の手間を増やしすぎないことも大切です。最初は対象の工程や期間を絞り、何の判断に使うかを伝えて始めましょう。記録した情報がどう使われ、何が変わったかを返すことが、次の協力につながります。
AIは、記録を整理する補助から使います
日報の内容を整理したり、確認する問いの候補をまとめたりする場面では、AIを補助として使う方法もあります。ただし、入力する情報を自社で扱ってよい環境か確認し、顧客名や図面、契約情報などを無条件に送らないようにしてください。
AIの回答を、原因の確定や会計処理の判断として使いません。元の記録へ戻れるようにして、人が数字と内容を確かめます。大切なのは新しい道具を使ったことではなく、現場の情報が伝わり、次に行うことを選べるようになったかです。
損益計算書を現場で使うときによくある質問
損益計算書を現場で使うときは、何を判断したいかを先に決めると、見る範囲を絞りやすくなります。一つの利益だけで結論を出さず、仕事の状況と組み合わせて考えましょう。
当期純利益が黒字なら、会社は安心ですか?
黒字は大切な結果ですが、それだけで支払いや将来の状態まで安心とはいえません。入金待ちの売掛金や在庫、設備投資、借入の返済など、資金の動きも確認してください。将来の受注や設備の状態も、PLの最終結果とは別に確かめる必要があります。
今期の利益が何によって生まれたかも見ます。継続する仕事から得た利益と、一時的な要因による利益を分けると、次の計画の前提を考えやすくなります。「黒字だから何もしなくてよい」とせず、今の取り組みを続ける条件を確認しましょう。
赤字のときは、すべての費用を減らすべきですか?
まず、どの段階で利益が減り、どの項目が影響したかを確かめます。必要な保全や品質の確認、人が仕事を覚える機会まで一律に減らせば、後の仕事に無理が出るかもしれません。金額の大きさだけでなく、何を支える費用かを見てください。
減らせる手戻り、条件を相談する取引、継続するために必要な費用を分けて考えます。急いで対応すべき資金不足がある場合は、PLの分析だけで時間を使わず、資金繰りを確認して金融機関や専門家へ早めに相談しましょう。
社員のみんなには、どこまで数字を共有すればよいですか?
会社の方針や情報の扱いを踏まえ、その話し合いに必要な範囲から共有すると始めやすくなります。金額、構成比、推移など、伝え方はいくつかあります。数字を見せる目的と、現場で一緒に考えたいことを添えてください。
共有しただけでは、使える情報になるとは限りません。何の費用が含まれているか、どの期間の数字か、作業とどう関わるかを説明します。現場から出てきた事情も受け止め、次に何を変えたかを返していきましょう。知る人だけが答えを持つ会にしないことです。
改善しても利益に表れないときは、失敗なのでしょうか?
すぐに失敗とは判断できません。作業が変わったことを確認したうえで、費用や受注、在庫にどう影響したかをたどります。材料単価や製品構成など、同時に別の要因が動いている場合もあります。条件が違う比較で、成果を過大にも過小にも見ないようにしたいですね。
安全や品質など、金額だけでは捉えにくい変化もあります。何を目的に取り組んだかへ戻り、達成したことと残る課題を分けます。そのうえで、利益や資金につながる次の工夫を考える。そうやって、現場の努力を会社の取り組みとして育てていきましょう。
まとめ|利益の変化を、みんなで次の仕事を選ぶ材料にする
損益計算書は、会社全体の結果を振り返るための道具です。5つの利益を順に見ることで、どの段階の変化を詳しく調べるかが分かりやすくなります。そこから原価の内訳や作業の記録へ戻り、実際の仕事と照らし合わせていきましょう。
数字は、問いを見つける入口です。
利益が減ったという結果だけで、誰かの仕事が悪かったとは決められません。価格、数量、製品構成、費用の区分、在庫など、確かめることがあります。事実と仮説を分け、現場の声を聞くことが、次の判断を支えます。
次の一歩は、気になる利益の変化を一つ選ぶことです。どの項目が動いたかを確認し、仕事の状況を知る人と話してみてください。取り組むこと、担当、次に確かめる日を決めるところまで進めれば、数字が行動につながり始めます。
社員の工夫が活きると、仕事が進めやすくなる。その積み重ねが、会社の元気につながっていく。決算書も、その歩みを確かめるために使っていただけたらと思います。
現場の取り組みをどう記録し、チームで改善を続ける仕組みへつなげるか迷われたら、COTNASの支援サービスをご覧いただき、ご相談ください。会計処理は会計専門家とも確認しながら、現場と経営をつなぐ一歩から考えていきましょう。最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

